夢の果てミュージック『憧憬』に収録中の『桜が舞ったあの日の君は』(英題:Everything Has Changed)について、楽曲の特徴や制作のきっかけをご紹介しています。
『桜が舞ったあの日の君は』について
『桜が舞ったあの日の君は』は「時の流れ」をテーマにした楽曲です。桜が咲いて散ってしまう寂しさのような明るくも侘しいメロディが特徴の、ポップで軽快なサウンドをお楽しみください。
楽曲データ
作曲年:2001年
制作環境:Logic Pro 9 & X
使用楽器:ピアノ、アコースティックギター、ストリングス、ドラムなど
ライセンス購入:https://audiostock.jp/audio/805945
動画
制作小話
日々の生活で時間が慌ただしく過ぎていくなか昔と今。ふと、いろいろなことが変わってしまったことに驚く瞬間があります。『桜が舞ったあの日の君は』はそんな「時の流れ」をテーマに制作した楽曲です。
生活。日々関わる人々。私たちは今という時間を生きていますが、その今という時間はやがては過去になります。そして、過去に関わりのあったすべての事柄は、時間の流れとともに、すべて変わっていきます。
どれだけ過去に親密な時を過ごした人々でさえ、やがて接点はなくなり、自分が知っている人ではなくなっていく。そんな時の残酷さを感じたときふと胸に、言葉にはできない侘しい感情が去来します。
私自身がそれを実感した頃、立原道造の『浅き春に寄せて』という詩に出会いました。『桜が舞ったあの日の君は』はこの歌詞にインスピレーションを受けて誕生しました。
冬が終われば春がきます。しかしその春は、昔やって来た春とは同じではないこと。明るくもリリカルなメロディは、それ気づく刹那的な寂しさを表現しています。
今は二月 たつたそれだけ あたりにはもう春がきこえてゐる
だけれどもたつたそれだけ 昔むかしの 約束はもうのこらない
今は二月 たつた一度だけ 夢のなかにささやいて ひとはゐない
だけれどもたつた一度だけ そのひとは私のためにほほゑんだ
さう!花はまたひらくであらう
さうして鳥はかはらずに啼いて 人びとは春のなかに笑みかはすであらう
今は二月 雪に面につづいた私のみだれた足跡 それだけ たつたそれだけ 私には
立原道造『浅き春に寄せて』より